ファイアパンチ 3 (ジャンプコミックスDIGITAL)

ファイアパンチ 3 (ジャンプコミックスDIGITAL)のカバー画像 発売日: 2016年12月2日 著者: 藤本タツキ 出版社: 集英社

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内容紹介

復讐の虚無と、剥き出しの「本心」。燃える男の新たな混迷

宿敵・ドマへの復讐を果たすべく、監獄都市ベヘムドルグへと向かうアグニとトガタ。復讐さえ終われば死ねる――。そう自分に言い聞かせて歩むアグニでしたが、牢に繋がれた奴隷たちの絶望的な瞳を見た瞬間、彼の心に異変が起こります。

「復讐こそが望みだ」と演じ続けてきた偽りの自分。しかし、その内側にある本当の叫びは、「目の前の命を救いたい」という純粋な善意でした。トガタの筋書きを台無しにしてまで、自らの心に従い牢をこじ開けたアグニ。

その行動が引き金となり、アグニを狙う祝福者たちとの凄絶な肉弾戦が勃発。激闘の果てにベヘムドルグの街は炎に包まれ、復讐の対象すらも灰に帰してしまいます。目的を失い、絶望に沈むアグニの前に現れたのは、世界の理を壊した元凶――「氷の魔女」。

アグニの「ヒーロー」としての覚醒と葛藤

復讐者という役割を演じることで痛みに耐えてきたアグニが、ついにその仮面を脱ぎ捨てるシーンは圧巻です。トガタの「映画」のような完璧な復讐劇を壊してでも、目の前の弱者を救うことを選んだ彼の姿には、歪ながらも本物の「救世主」の片鱗が見えます。

ベヘムドルグ炎上。すべてが灰になる無常感

凄まじい筆致で描かれる祝福者とのバトル。その結末として、復讐の相手であるドマまでもがアグニの意図しないところで焼け死んでしまう展開には、藤本タツキ先生らしい「救いのない皮肉」が効いています。積み上げてきた憎しみのやり場を失う喪失感が、ページ越しに伝わってきます。

ユダとの絶望的な共鳴

神として崇められながら死を熱望するユダと、死ねない体で燃え続けるアグニ。二人の孤独な魂が交錯し、共に終わりを願うシーンは、美しくもあまりに悲痛。そこへ介入する「氷の魔女」の存在が、物語のスケールを一気に「神話」の領域へと引き上げます。

燃え尽きた後に残る、逃げ場のない「生」の呪い

復讐が果たされた(あるいは終わってしまった)後の空虚さが、これほどまでに重く描かれるとは思いませんでした。ドマが死んでもアグニの炎は消えず、救った奴隷たちの期待という新たな「重荷」を背負わされる。「死にたいのに、生きる理由を他人に与えられ続ける」アグニの苦悩が、燃え盛る街の火柱よりも熱く胸を焼く一冊です。ついに現れた「氷の魔女」によって、この地獄のような世界がどこへ向かうのか、興奮と不安が止まりません。

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