菌と鉄(4) (週刊少年マガジンコミックス)

菌と鉄(4) (週刊少年マガジンコミックス)のカバー画像 発売日: 2023年6月8日 著者: 片山あやか 出版社: 講談社

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内容紹介

争いの根絶か、自由な意思か。研究所で激突する「正義」

反撃の鍵となる「アザ持ち」の戦士たちを仲間にするため、ロシアのアミガサ研究所へと潜入したダンテ。そこで彼を待ち受けていたのは、驚異的な耐性を持つ「タカの男」クヴァルとの邂逅、そしてアミガサが推し進める禁忌の実験「疫源(えきげん)」の真実でした。

「争いをなくし、環境を再生させたアミガサの支配こそが正しい」と説く所長。対して、加虐性と暴力を孕んだ「旧人類」の象徴として扱われるダンテ。答えのない問いに戸惑いながらも、ダンテは戦場で見知らぬ敵兵の命すら救おうと足掻きます。

「戦うこと」の先に何があるのか。ニコライ支部長の凶行、そしてIQ(最高幹部)の決断。炎上する研究所で、ダンテが示した「人類の可能性」とは。

ダンテの「無自覚な慈愛」と敵味方の超越

敵であるはずの研究所職員や、盾にされている敵兵にさえ応急処置を施し、励ましの言葉をかけるダンテ。効率や敵味方の区別を超え、「目の前で苦しむ人を放っておけない」という彼の本能こそが、アミガサの計算を狂わせる最大のイレギュラーとして描かれています。

クヴァルとの共闘と「疫源」の恐怖

圧倒的な身体能力を持ちながら、菌に操られ仲間を失うクヴァル。彼とダンテが不器用ながらも信頼を築いていく過程は熱く、同時に「個」を奪い無抵抗な家畜に変えようとする「疫源」計画の悍ましさが、自由への渇望を際立たせます。

所長の心を変えた、愚かだが美しい輝き

人類の歴史を暴力の連鎖と切り捨てていた所長が、死闘を繰り広げるダンテの中に希望を見出すシーン。モブキャラかと思われた人物が、ダンテの行動によって「人類の味方」へと転じるシーンは目頭が熱くなります。

「音楽」がもたらした小さな、しかし確かな変化

ラスト、陽動のために置かれた音楽が、ある兵士の手で再生されるシーン。文字が読めなくても、言葉が通じなくても、音を通じて「想い」が伝播していく演出に、反撃の成功以上の希望を感じさせます。


今巻では、アミガサ側の言い分にも一定の理があることが示されます。「争いのない平和な世界」は一見理想的ですが、それは「意思を捨てた家畜」になることと同義。ニコライの首をねじ切るほどの暴力性を抱えながら、同時に敵の傷を癒そうとするダンテの矛盾した姿に、人間という存在の複雑さと愛おしさを感じました。「でえと」も「音楽」も知らない彼が、誰よりも人間らしくなっていく姿に胸が熱くなります。

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