平和の国の島崎へ(2) (モーニングコミックス)
内容紹介
幼少期にテロ組織に拉致され、過酷な戦場を生き抜いてきた島崎真悟。組織を脱走し、日本で「島崎」として静かに暮らす彼が選んだ居場所は、喫茶店「ルパソ」だった。 しかし、2巻ではその平穏を切り裂く影が現れる。店に訪れたある男がもたらすのは、暴力の予感と、島崎が必死に蓋をしてきた「工作員としての本能」を呼び覚ます刺激。 「戦いたくない、けれど守らなければならない」。島崎の葛藤が加速する、緊迫の第2巻。
静かな日常が少しずつ壊れてゆく
第2巻を読み終えて、まず感じたのは「平和を維持することの難しさ」です。1巻では島崎が社会に溶け込もうとするシュールで温かい姿に癒やされる場面もありましたが、この2巻からは一気に緊張感のギアが上がります。
島崎にとっての聖域である喫茶店「ルパソ」に現れた不穏な男。その存在が、読者に対しても「あぁ、やはり島崎は過去から逃げ切れないのか」という絶望感を突きつけてきます。しかし、そこで絶望するのではなく、島崎が取った行動はあくまで「大切な場所を守るための選択」でした。
特筆すべきは、島崎の「目」の描き方です。普段のぼんやりとした虚無的な瞳が、危機を察知した瞬間に、深淵のような冷たさを帯びる。その一瞬のスイッチの切り替わりに、彼が戦場で過ごしてきた地獄の年月が凝縮されています。私たちは平和な日本で彼を応援していますが、彼が力を振るえば振るうほど、彼が求めた「普通の人間」から遠ざかってしまうのではないかという切なさも同時にこみ上げてきます。
「平和とは、戦わなくて済むことではなく、戦う力を持った者がそれを使わずに済む状態のことではないか」。そんな深い問いかけを、無口な主人公の背中から感じ取ってしまう、重厚な読み応えのある巻でした。