アルスラーン戦記(15) (週刊少年マガジンコミックス)
内容紹介
「王太子」から「一人の男」へ。父王の帰還がもたらす追放の宣告
トゥラーン軍の猛攻を退け、ようやく一息ついたペシャワール城。しかし、そこに現れたのはルシタニアの地獄から這い上がってきたアンドラゴラス王でした。
再会の喜びも束の間、父王が息子に突きつけたのは抱擁ではなく、「単独で南部へ向かい、5万の兵を集めよ」という、事実上の国外追放命令。功労者であるはずのアルスラーンから全てを奪い、孤立させる王の真意とは? 絶望的な状況下で、少年に残されたのは何か。 パルスの覇権を巡る物語は、親子・宿敵・臣下それぞれの想いを巻き込み、最も過酷な試練へと突入します。
アンドラゴラス王の圧倒的な「圧」と非情さ
「国王はただひとり」という台詞と共に放たれる、有無を言わさぬ王の威厳。これまでアルスラーンが築いてきたものを一瞬で無に帰すその冷徹さは、読んでいて息が詰まるほどの緊張感です。
ヒルメスとイリーナ、孤独な魂の回想
復讐に燃えるヒルメスの過去と、彼を想うイリーナ姫。王位争いのドロドロした側面に、切ない人間ドラマが深みを加えます。ヒルメスもまた、ある意味で「家族」という呪縛に翻弄される一人であることが浮き彫りになります。
アルスラーンの「孤独な旅立ち」
全てを失い、たった一人で城を出るアルスラーン。しかし、その背中はかつての弱々しい少年ではありません。この追放劇こそが、彼を「用意された王太子」から「自ら道を切り拓く王」へと変える最大の転機となります。
第15巻、読み終わった後の「アンドラゴラス王、それはないですよ」という憤りと、「やっぱりダリューンたちは最高だ」という感動の落差がすごいです。
せっかくトゥラーンを追い返して城を守ったのに、戻ってきた父親に「お前クビな。あと一人で行けよ」と言われるアルスラーンの心境を思うと、涙なしには読めません。
でも、そこからのナルサスやダリューンたちの動きが本当に粋です。 王命に背いてでも、あるいは屁理屈をこねてでもアルスラーンを追う彼らの姿に、正統な権力よりも大事なものがあるという本作のテーマが凝縮されています。
アンドラゴラスの非情さと、アルスラーンの静かな決意がより鮮明に伝わってきます。 どん底からのリスタート。ここからアルスラーンがどうやって「自分の軍」を作り上げていくのか、応援せずにはいられない最高に熱い一冊でした。