新装版 度胸星(3)

新装版 度胸星(3)のカバー画像 発売日: 2016年11月22日 著者: 山田芳裕 出版社: 講談社

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内容紹介

極寒の火星とシベリア。命を繋ぐのは、折れない「意志」

火星でモジュールを破壊され、すべての任務から解放されたスチュアート。死に直結する絶望の中で彼が浮かべた不敵な笑みの真意とは? 一方、地球では最終選抜、シベリアでのサバイバル訓練が開始される。 短期決戦を狙う筑前チームと、堅実な歩みを選ぶ度胸チーム。マイナス40度の極限状態で、エリートたちの仮面が剥がれ、剥き出しの人間性が露わに。 人間ドラマの「熱」と、テセラックがもたらす未知の「冷徹さ」の対比がより鮮明に突き刺さります。

減圧下の折り紙

意識が朦朧とする中で他人の分まで折る度胸の凄み。エリートの脆さと、叩き上げの強さが鮮明に描かれます。

スチュアートの「不敵な笑み」

絶望の先で、恐怖を通り越して「自由」を感じてしまった男の表情。山田先生の描く「眼」の力に圧倒されます。

雪原の度胸

動けなくなった二人をソリで引く度胸の姿。そこには知性もエリート意識もなく、ただ「届ける」という本能だけが脈打っているように思えます。


息が白くなるような錯覚を覚えるほどの没入感を味わいました。この巻の面白さは、火星と地球、二つの極地で「人間がどうあるべきか」を同時に問いかけてくる点にあります。

特に印象的なのは、減圧試験で見せた度胸の献身と、サバイバル訓練での凄まじい足取りです。エリートである石田が極限状態動けなくなる中、度胸は文句一つ言わず、ただ淡々と「やるべきこと」を遂行する。動けなくなった二人を引きずりながら雪原を進む度胸の姿は、もはや宇宙飛行士というより、一人の「鬼」のような迫力がありました。 彼を突き動かしているのは、1位になりたいという功名心ではなく、母に誓った「荷を届けて還る」というトラック野郎としての矜持。そのシンプルで力強い哲学が、高度な宇宙開発の現場で最も輝きを放つ皮肉と感動に、胸が熱くなります。

一方で、火星のスチュアートが見せた笑みには戦慄しました。テセラックという理解不能な存在によって生活の拠点を破壊され、生存の可能性がゼロに近づいたとき、彼は絶望ではなく「解放」を得た。この描写こそが山田芳裕先生の真骨頂であり、SFとしての深淵を感じさせます。

サバイバル訓練はどちらのチームが合格するのか。 そしてテセラックは、スチュアートを「壊した」のか「救った」のか。 手に汗握る展開の連続でした。

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