陰陽師 3 (ジェッツコミックス)

陰陽師 3 (ジェッツコミックス)のカバー画像 発売日: 2014年9月26日 著者: 夢枕獏岡野玲子 出版社: 白泉社

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内容紹介

物語が深まりを見せ、平安時代の闇と美しさがより一層際立ってくる巻です。 第3巻を象徴する5つの特徴を挙げます。

1.「生成姫(なまなりひめ)」の悲哀

3巻の大きな見どころは、人間の女性が鬼へと変わっていく中間の状態、「生成(なまなり)」を描いたエピソードです。愛ゆえに狂い、怨念を募らせる女性の情念と、それを憐れみの目で見守る晴明・博雅の姿が、圧倒的な筆致で描かれています。

2. 楽器に宿る霊性

博雅が愛用する笛「葉二(はふたつ)」や、名器とされる琵琶を巡る物語など、「物に魂が宿る」という日本古来の八百万の思想が色濃く反映されています。音楽が物理的な現象を超えて、霊的な世界へ干渉する描写は非常に幻想的です。

3. 博雅の「漢(おとこ)らしさ」の深化

晴明が理論と術で怪異を解く一方で、博雅の持つ「純粋な魂」や「音楽の才」が、理屈を超えて事態を好転させる場面が目立ち始めます。晴明がなぜこれほどまでに博雅を好いているのか、その理由が読者にも深く伝わってくるのがこの時期です。

4. 建築と陰陽道の融合

物語の舞台となる邸宅や庭の配置、方角といった「風水・陰陽道」的な視点がより緻密に描かれます。平安京という都市そのものが、巨大な術式(呪)の上に成り立っていることを視覚的に感じさせる構成が特徴です。

5. 情緒的な四季の移ろい

3巻では、庭に咲く花や降り注ぐ雨、月の光といった自然描写が、登場人物の心情と見事にシンクロしています。岡野先生の余白を活かした表現により、ページをめくるごとに「平安の季節の匂い」まで感じさせるような高い芸術性が漂っています。

「この世に不思議なことなど何もないのだよ、博雅。すべては呪(しゅ)なのだから」

そんな晴明の囁きが聞こえてきそうな、静謐ながらも熱い情念が渦巻く一冊です。

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