アルスラーン戦記(24) (週刊少年マガジンコミックス)

アルスラーン戦記(24) (週刊少年マガジンコミックス)のカバー画像 発売日: 2026年3月9日 著者: 田中芳樹荒川弘 出版社: 講談社

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内容紹介

人ならざる「王」の降臨。パルスの夜明けは、魔の咆哮に塗り潰される

王都奪還の歓喜は、絶望の悲鳴へと変わりました。蘇ったアンドラゴラス王――しかし、その肉体に宿っているのは、かつて英雄王カイ・ホスローによって封印されたはずの蛇王ザッハークでした。蛇王は躊躇なく王妃タハミーネの命を奪い、瘴気によってパルス兵たちを「意思なき人形」へと変え、アルスラーン殺害へと差し向けます。

一方、ダリューンは叔父ヴァフリーズとの悲しき決別を終えます。 血統を持たぬアルスラーンですが、まったく迷いはありません。あらためて蛇王を倒すことを決意します。

「王の資格」とは血の繋がりか、それとも民を守る意志か。 王都を埋め尽くす魔の軍勢を前に、アルスラーンだけでなく、宿敵ヒルメスもそれぞれの誇りを懸けて立ち上がります。

ヴァフリーズが遺した「希望」とアルスラーンの答え

ダリューンに討たれたヴァフリーズが、今際の際に遺した「地獄の仲間に自慢してやる」という言葉には、武人としての深い情愛が溢れていました。そしてアルスラーンの言葉も素晴らしい。「最高の戦士(ダリューン)と最高の軍師(ナルサス)を得た自分は、一人で戦いを始めたカイ・ホスローよりも恵まれている」――。血統という「過去」に頼らず、仲間という「現在」を力に変える少年の姿に、ヴァフリーズも救いを感じたはずです。

ヒルメスの王族としての覚悟

最も熱い変化を遂げているのがヒルメスなのかもしれません。魔道士に利用されたことを悟り、一度は逃亡を図る彼を呼び止めたのは、負傷したアルフリードとメルレインの言葉でした。「人の心が死んでいる貴様から奪うものはない」というゾッド族の痛烈な批判、そして忠臣ザンデの願い。かつて美しかったエクバターナへの責任感に目覚め、敵対していたアルフリードたちを救うために剣を振るうヒルメスの姿は、彼もまた「パルスの王族」であることを再認識させてくれます。

蛇王ザッハークという圧倒的絶望

アンドラゴラスの強靭な肉体を乗っ取った蛇王の威圧感は凄まじいものがあります。瘴気で兵士を操り、最強の一角であるクバートをすら圧倒するその力。単なる「強い敵」ではなく、世界の理を壊す「魔」としての描写が、物語の緊張感を一段上のステージへと押し上げています。


第24巻を読み終えて感じるのは、それぞれの戦う理由の多様性です。 アルスラーンは「仲間との絆」を、ヒルメスは「王族としての責務」を、王族ではありませんが、クバートやドン・リカルドは「個人の矜持」を胸に戦っています。

特に印象深いのは、アルスラーンがルクナバートを抜けないことを知りながらも、アルフリードやメルレインが彼を「自分たちの王」として信じている点です。 一方で、ヒルメスがその事実を知り、「抜けるのは俺だけか……?」ということになったら、物語はどのような展開になるのでしょうか。もしヒルメスがルクナバートを抜き、アルスラーンが軍を率いるという「共闘」が実現すれば、これほど熱い展開はありません(ないとは思いますが)。

また、蛇王に乗っ取られたアンドラゴラスがタハミーネを殺害するシーンは、あまりにも非情ですが、それによってパルスにおける「旧時代の王政」が完全に死に絶えたことを意味しています。もう後戻りはできない。アルスラーンたちは、自分たちの手で新しい国を、文字通りゼロから(あるいは廃墟から)作り直さなければならないのです。

ラストのクバートvs蛇王・・。圧倒的な魔力を前に、クバートが選んだ「戦う」という選択肢。絶体絶命の状況で、アルスラーン陣営の各個撃破されたピースがどのように集結し、反撃の狼煙を上げるのか。

物語はいよいよ、伝説を超える「英雄譚」の核心へと突き進んでいくのではないかと思います。次巻、クバートの運命と、ついに激突するであろうアルスラーンと蛇王の対峙から目が離せません。

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