アルスラーン戦記(14) (週刊少年マガジンコミックス)
内容紹介
非道な侵略王とアルスラーンの怒り
王都奪還の足を止めて駆けつけたペシャワール城。しかし、そこを包囲したのは北方の大国トゥラーンの国王トクトミシュ自らが率いる大軍勢でした。
卑劣な人質作戦と、パルスを侮辱する非道な挑発を繰り返すトクトミシュ。ついに温厚なアルスラーンの逆鱗が触れた時、反撃の狼煙が上がります。数で勝る敵包囲網を切り裂くため、ナルサスが描く「盤面」とは? そして、別行動をとっていた「あの男」も戦場へと急行します。 英雄たちが再び集結し、草原の覇者を自称する侵略者たちにパルスの意地を見せつける、怒濤の第14巻です。
トクトミシュ王の清々しいまでの外道っぷり
「これぞ悪役!」という卑劣な挑発で、読者のヘイトを一身に集めるトクトミシュ。彼が外道であればあるほど、アルスラーンが感情を露わにして立ち上がるシーンの説得力が増し、反撃が始まった際のカタルシスが爆発します。
ナルサスの「詰将棋」のような包囲網突破策
多勢に無勢の状況を、心理戦と地の利、そして正確な用兵でひっくり返していく軍略シーンは圧巻。戦況が二転三転しつつも、最後にはパルス軍のペースに引き込んでいくテンポの良さは、本作の真骨頂です。
孤高の戦士・ジムサの残酷な運命
祖国のために命を懸けて潜入し、成功報酬として地位を約束されていたジムサ。しかし、ナルサスの計略によって「裏切り者」の濡れ衣を着せられ、居場所を失う姿には胸が締め付けられます。「組織に尽くした個人が、智略の前に使い捨てられる」という戦記物特有の苦味が、物語に深みを与えています。
第14巻、なんといってもアルスラーンが「怒り」を力に変える姿に痺れました! 普段の彼なら慈悲を優先するところを、トクトミシュのあまりの非道さに「こいつは許してはおけない、先代の王にしてやる」と決断する。それは彼が単なる「いい子」ではなく、守るべきもののために剣を振るう「主君」になった証でもあります。
また、ジムサのエピソードが切ない……。必死に逃げ出した先でも「裏切り者」と罵られる絶望感。彼のような「被害者」を生んでしまうのも戦争の現実であり、その残酷さを描くからこそ、アルスラーンが目指す「新しい国」への期待が高まります。
トクトミシュへの怒りと、ジムサへの同情、そしてイルテリシュの暴走と、感情が激しく揺さぶられた末の勝利でした。 ラジェンドラもよい働き(?)でしたね。