新装版 度胸星(2)
内容紹介
極限の火星、咆哮の地球。男たちの「度胸」が試される
火星で独り、四角い謎の知的存在「テセラック」と対峙するスチュアート。零下30度の極寒の中、底知れぬ奥行きを持つ未知の物体に翻弄される。 一方、地球では宇宙飛行士選抜試験が佳境へ。トラック野郎・三河度胸(みかわ どきょう)は、暴力で他者を圧倒する候補生・武田とペアを組むことに。水深50メートルの訓練プールという「擬似宇宙」で、二人の生存本能が激突する。 「宇宙の神秘」と「昭和の根性」の超融合。 物理法則を超えた高次元の謎と、泥にまみれた人間ドラマが交互に描かれることで、熱量ある物語が展開されます。
「テセラック」の不気味な魅力
平面なのに無限の奥行き。触れた瞬間のゾクゾクする描写は、SF漫画史に残る「未知」の表現です。
逆境で剥き出しになる本性
窮地で助けを乞う者と、淡々と作業を続行する者。度胸が見開いた「眼」の迫力に、読者も武田同様に圧倒されます。
執念のスペアリブ
宇宙飛行士の英雄像を壊す「スペアリブを食べたい。シャワーを浴びたい」という切実な独白。このリアリティが胸を打ちます。
暴力で他者を排除してきた武田が、絶望的な状況下でなお「作業を続けさせてください」と言い放つ度胸の気迫に呑まれていく過程。普段は糸のような細い目をしている度胸が、カッと目を見開いて巨大なモジュールを押し上げる瞬間、そこには理屈を超えた「生きる意志」が宿っていました。「死ぬ度胸はない」と言い切る彼は、誰よりも死を恐れているからこそ、生還するために全霊を懸ける。その姿は、かつて彼が嫌った「喧嘩っ早い親父さん」の血を、最も良い形で受け継いでいるようにも見え、目頭が熱くなりました。
また、火星のスチュアートの独白にも強く揺さぶられました。宇宙飛行士という超人であっても、極限状態では「熱いシャワー」や「スペアリブ」を渇望する。この圧倒的な説得力があるからこそ、彼を助けたテセラックの不可解な行動がより一層、神秘的に響きます。
敵対していた武田をも認めさせた度胸の「眼」。そしてスチュアートの手を取った「四角い謎」。地球と火星、二つの場所で同時に「人間」が試される展開に、一瞬たりとも目が離せません。