アルスラーン戦記(18) (週刊少年マガジンコミックス)

アルスラーン戦記(18) (週刊少年マガジンコミックス)のカバー画像 発売日: 2022年12月9日 著者: 田中芳樹荒川弘 出版社: 講談社

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内容紹介

神は沈黙し、蛇が目覚める。三つの軍勢、王都へ

ギランで力を蓄えたアルスラーン軍。進軍を前に、エステルは「略奪品も返し、二度と国境を侵さないから王を助けてほしい」と涙ながらに乞います。ナルサスの冷徹な正論を、アルスラーンの「器」が包み込み、一行は独自の信念を胸に王都を目指します。

一方、東方ではアンドラゴラス軍がルシタニアを圧倒。信頼する将を失い、魔道士の影に怯えるギスカールは、ついにロザリオを捨て、自軍を斬る「督戦隊」を組織するまでに追い詰められます。

「正嫡」を名乗るヒルメス、「正統」を誇るアンドラゴラス、そして「理想」を掲げるアルスラーン。三つの軍勢がエクバターナへ向かう背後で、魔の山からは巨大な蛇が這い出し、生け贄を求めて蠢き始めます。

ナルサスの金言とアルスラーンの「超克」

「人柄の善悪ではなく、行為の善悪が問題だ」というナルサスの指摘は、国家間の争いにおける真理を突いています。それを否定せず、あえて「エステルの願いを方針とする」と決断したアルスラーン。「軍師の知略」を「王の慈悲」が乗りこなした瞬間であり、彼の王としての成長が眩しいシーンです。

ギスカール、絶望

これまで苦労人として描かれてきたギスカールが、ついに神を捨て、味方を後ろから撃つ督戦隊を作るまでに壊れていく様は圧巻です。投げ捨てられたロザリオが、ルシタニアという国の精神的な崩壊を象徴しており、読んでいて胸が締め付けられます。

三者三様のエクバターナ進軍

「血統」のヒルメス、「武力」のアンドラゴラス、そして「実利と民」のナルサス(アルスラーン軍)。それぞれの言い分が並ぶシーンは、「真の王とは何か」を読者に問いかけているように思えます。

忍び寄る「蛇王ザッハーク」の恐怖

もぬけの殻の城を喜んで占拠するボダンの滑稽さと、対照的に描かれる「巨大な蛇」の捕食シーン。人間たちが王座を争っている間に、世界そのものを飲み込む「人外の災厄」が完全に目覚めた絶望感が、物語のステージを引き上げています。


第18巻は、それぞれのキャラクターが抱える「正義」や「必死さ」がぶつかり合い、どこか悲劇的な色が濃くなっていますね。 特にボードワンを失ったギスカールの落胆ぶりには、敵ながら同情してしまいました。彼もまた、ルシタニアという国を背負って必死に生きてきた一人の人間だったのだと、改めて感じさせられます。

そんな泥沼の戦場に、颯爽と現れて兵糧を焼き、ダリューンがプレージアン伯を斬り捨てるパルス軍(アルスラーン側)の鮮やかさ! 「正統論なんぞ知ったことか」と言い切るナルサスの潔さが、停滞した戦況に風穴を開けるようで非常に爽快です。

しかし、ラストの「蛇」の描写……。蛇王ザッハークの復活は、もはや避けては通れない運命。三つの王家が争っている場合ではないほどの大災厄を前に、アルスラーンたちがどう立ち向かうのか。歴史戦記から神話的決戦へと変貌する予感に、震えが止まりません。

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