アルスラーン戦記(11) (週刊少年マガジンコミックス)

アルスラーン戦記(11) (週刊少年マガジンコミックス)のカバー画像 発売日: 2019年5月9日 著者: 田中芳樹 出版社: 講談社

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内容紹介

公称8万、実数10万。知略の「サバ読み」から始まる王都奪還

ペシャワール城を出撃したアルスラーン軍。ナルサスはあえて兵数を少なく公称し、ルシタニア軍の油断を誘う心理戦を仕掛けます。対するルシタニアの知将ギスカールも「たとえ4万でも10万で叩き潰す」と、中間管理職の悲哀をパワーに変えて迎え撃ちます。

進軍の途上、聖マヌエル城での偶発的な衝突から、物語は一気に城攻めへ。そこでアルスラーンを待っていたのは、かつて捕虜として出会い、聖典を授けてくれた騎士見習いの少年(?)エステルとの再会でした。

「神が命じた」と叫ぶエステルに対し、アルスラーンが突きつける静かな問い。 信仰、正義、そして侵略。互いの譲れないアイデンティティが激突する中、少年たち(?)の対話が新たな歴史の第一歩となるか。

ギーブの退場と、ナルサスの裏工作

イスファーンとの因縁を逆手に取った「狂言の暇乞い」。アルスラーンの悲しそうな顔を見ていると胸が痛みますが、すべてはナルサスの計略。「いずれ誰にも文句を言わせない形で復帰させる」というナルサスの自信たっぷりな言葉に、再会の期待が高まります。

アルスラーンの「王者の風格」

ルシタニアの伝令に対し、「近い日必ず、パルス流の礼節を持ってお目にかかる」と言い放つシーン。かつての気弱な少年はもういません。敵に対しても敬意と威圧を同時に示すその姿は、まさに一国の主。

エステルVSアルスラーンの「神学論争」

「神が仰ったのを君は聴いたのか?」というアルスラーンの問いは、盲目的な信仰に浸るルシタニア勢にとって最も痛いところ。「大切なものだからこそ、都合よく振り回してはいけない」という言葉は、現代の私たちにも深く刺さる名言です。

おかわりまで食べるエステルの素直さ

「施しは受けぬ!」と強がっておきながら、アルスラーンの機転(と空腹)に負けて完食するエステル。この二人のやり取りは、血生臭い戦記物の中のオアシスのような微笑ましさがあります。


第11巻で印象的だったのは、ルシタニア側の将軍モンフェラートの独白です。「アトロパテネで勝ってしまったのが間違いだった」……この一言に、ルシタニア軍の悲哀と疲弊が濃縮されている気がします。

また、アルスラーンがエステルに「ルシタニア兵のために祈ってくれ」と頼むシーン。パルスという国が単なる野蛮な異教徒の集まりではなく、敵の死をも悼む高い文明と精神性を持っていることを示した最高の演出でした。なんだかパルス軍の一員になったかのような誇らしい気持ちになりました。

一方で、ギスカールの青筋が巻を追うごとに増えているのが不憫でなりません(笑)。ヒルメスが再び接触してきたことで、ルシタニア内部の権力争いもさらにドロドロしそうな予感がします。

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