新装版 度胸星(4)

新装版 度胸星(4)のカバー画像 発売日: 2016年11月22日 著者: 山田芳裕 出版社: 講談社

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内容紹介

火星に響くテセラックの鼓動。人類は「高次元」に打ち勝てるか

ついにシベリア最終試験が結着。選ばれた筑前たちはNASAのシャトルで火星へと降り立ちます。しかし、着地の歓喜も束の間、第1次探査隊スチュアートを襲った謎の立方体「テセラック」が再び牙を剥きます。通信は途絶し、火星に取り残された仲間たち。

絶望に沈む地球。しかし、ロシアで秘密裏に建造されていた「もう一機のシャトル」が、唯一の希望として浮上します。友を救うため、そして未知の正体を暴くため、三河度胸たちが選んだのは、公式記録には残らない「栄光なき旅立ち」でした。超ひも理論、高次元、そして未知との遭遇。宇宙の深淵に挑む者たちの、魂の咆哮ともいえる最終巻です。

インターステラーに通ずる科学的ロマン

「超ひも理論」など、当時の最先端科学を背景にした物語構成は、今読み返しても全く色褪せません。物理学の壁を、知能ではなく「度胸」と「情熱」で突き破ろうとするアプローチに、知的好奇心が激しく揺さぶられます。

秘密のシャトルによる裏の打ち上げ

NASAが諦めても、彼らは諦めない。ロシアの秘密基地から度胸たちが飛び立つラストシーンの疾走感! 「世界に見捨てられた友」を救いに行くという王道展開が、SFの重厚さと合わさって最高のカタルシスを生んでいます。

「度胸星」というタイトルの裏にある真意

一見、根性もののようなタイトルですが、その実態は「未知なる宇宙に対する、人類の精神の在り方」を問う壮大な叙事詩。読み終えた後には、このタイトル以外あり得ないと思わせる説得力があります。


読み終えた瞬間、「続きを……! 続きを読ませてくれ……!」と叫びたくなる、このもどかしさも含めて名作ですよね。 火星で何が起きたのか、テセラックの目的は何なのか、そして度胸たちはどうやって帰還するのか。すべての謎が「想像力」という宇宙に放り出されたまま終わる構成は、あまりに罪深く、そして美しいです。

『インターステラー』が大好きという方なら、劇中の「5次元」の描写や家族愛、科学への挑戦に共通する震えるような感動を覚えるはず。 映像化してほしい。 最新のCGIで描かれるテセラックや、火星の荒野を爆走する度胸たちの姿を想像するだけで、ご飯3杯はいけます。

テセラックは、火星に到達できるほどの知性と技術を持った種族を「観測」していたのではないでしょうか。スチュアートや筑前たちが攻撃されたのは、高次元の存在から見れば「3次元の住人が禁断の領域に触れようとした」ことへの、免疫反応のようなものだったのかもしれません。

また、山田芳裕先生の作風を考えると、最終的には数式や理論ではなく、度胸の持つ「精神のエネルギー」がテセラックの内部に干渉し、高次元の壁を突破する展開も考えられなくはないかなと思います。「理屈じゃねえ、魂で四次元をこじ開けるんだ!」という、泥臭くも壮大なラストシーンも目に浮かびます。

『インターステラー』では「愛」が重力と同じように次元を超える唯一の力として描かれました。 『度胸星』において、その役割を果たすのがタイトルにもある「度胸(意志)」。 恐怖を克服し、未知の深淵へ一歩踏み出す「度胸」こそが、高次元の存在とコンタクトするための鍵だとすると、この「精神性が物理法則に干渉する」というテーマ、もしかしたら度胸星でも描かれていたのかもしれません。

タイトルで敬遠している人がいたら、無理やり読ませたくなるほど、中身は濃密なハードSF。この未完の傑作を、ぜひ皆さんの脳内で完結させてほしい…そんな一冊でした。

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