レ・セルバン(5) (マンガワンコミックス)
内容紹介
蹂躙される王国、目覚める「魔神」。少女たちの変質
セルバン王が援軍要請で不在の中、残された王女アルシノエは、迫りくる敵軍から民を守るため、禁忌ともいえる「魔神」の力に手を伸ばします。
巨人の血を引く娘としての片鱗を見せ、凄まじい武力で戦場を駆けるアルシノエ。その成長を喜ぶべきはずのミネルファの口から漏れたのは、「子供のままじゃいられないか」という、まるで親心にも似たどこか悲しそうな一言。
一方、城内ではもう一人の姫・ロザリカが、自分を辱めようとした者たちを「ねじ切る」不可解な力に覚醒します。神像の影、暗躍する工作員、そして夜の闇に乗じて現れる最強の怪物ゴルゴリオス。 血の匂いが立ち込める中、少女たちの純粋さは、戦火によって無慈悲にも塗り替えられようとしています。
アルシノエの「戦士」としての覚醒
可憐な王女だったアル(アルシノエ)が、巨人の血を引く圧倒的な膂力で敵をなぎ倒す姿は圧巻です。しかし、その強さと引き換えに失われていく「幼さ」に、ミネルファと共に一抹の寂しさを感じずにはいられません。
ロザリカの「ねじ切る」力と不気味な神像
顔のない神像がもたらす、物理法則を無視した「ねじ切る」攻撃。自分を辱めようとしたヘラルドを一瞬で葬る力。同時に漂う「もはや人間ではないもの」に変質してしまったかのような異質感が、その残酷さを際立たせています。
怪物ゴルゴリオスの圧倒的絶望感
夜のスフランデルに転移で現れたゴルゴリオスの強さは別次元。ロザリカの異能を受けてもなお止まらないその姿は、まさに攻略不能な「厄災」そのものです。
ハルパニアの豪傑・ウェボ
「百騎落とし」の異名を持つウェボ。魔神や異能が飛び交う中で、純粋な「個の武勇」としての豪快な戦いぶりは、戦記物としての面白さを担保しています。
「アルちゃん、そりゃ子供のままじゃいられないか」というミネルファの言葉が、今巻のすべてを物語っている気がして胸が締め付けられました。 大切なものを守るために力を手に入れる。しかし、その力を行使するたびに、彼女たちは人間らしい平穏から遠ざかっていく。
城内で暗躍するファブリスの「絶対ろくなことをしない感」も凄まじく、戦場の外側からも絶望が浸食してくる感覚に、新刊が出るたび胃がキリキリします。
ゴルゴリオスと対峙するロザリカ。そして戦場に降り立つアルシノエ。 二人の「姫」が選んだ道が、滅びゆく王国にどのような奇跡(あるいは地獄)をもたらすのでしょうか。 救いがあるのか分からないほどの混沌、その先に何があるのか、見届けずにはいられない引力があります。