ロックアップ 1 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)
内容紹介
リング上の華やかさではなく、その裏側にある「執念と生き様」を剥き出しに描いた渾身の一作、『ロックアップ』。
「死んでも、負けない」——崖っぷちレスラーの狂気と奇跡
かつては一世を風靡したものの、現在はインディー団体を率い、借金と体調不良に喘ぐベテランレスラー、サムソン高木。
末期がんを宣告された彼が選んだのは、静かな隠居ではなく「リングの上で死ぬこと」でした。たとえ身体がボロボロになっても、観客の嘲笑を浴びても、彼は対戦相手の攻撃を正面から受け止め続ける。
なぜ、そこまでして戦うのか? なぜ、避けることを許さない「プロレス」に命を懸けるのか?
物語は、サムソンの不器用すぎる生き様を通して、「男のプライド」と「エンターテインメントの真実」を描き出します。
「タフ」とは違う、猿渡哲也の新たな最高傑作
『高校鉄拳伝タフ』のような格闘技の技術論を期待して読むと、良い意味で裏切られます。本作にあるのは、技術を超えた「魂のぶつかり合い」です。
「受けの美学」の衝撃
格闘技なら「避ける」のが正解。しかしプロレスは「受ける」のが仕事。サムソンが敵の猛攻を肉体で受け止め、血を流しながらも立ち上がる姿には、理屈を超えた神々しさすら感じます。
人間の「業」を肯定する描写
登場人物たちは皆、どこか卑屈で、欲望に忠実で、不器用です。でも、だからこそ彼らがリングで見せる一瞬の輝きに、涙が止まらなくなります。
圧倒的な画力が生むリアリティ: 猿渡先生の描く、使い古された肉体の質感、痣、そして歪んだ表情。そのディテールが、物語の「痛み」を読者の脳にダイレクトに伝えてきます。
読み終えた後、「プロレスなんて八百長だ」と笑っていた人ほど、サムソン高木の虜になっているはず。これは大人のための、泥臭くも高潔な人間讃歌です。