新装版 骨の音 (モーニングコミックス)
内容紹介
『寄生獣』や『ヒストリエ』で知られる天才・岩明均先生の原点。それがこの初期短編集『骨の音』です。
後に世界を震撼させることとなる「岩明イズム」が、すでにこの時点で完成されていたことに驚きを禁じ得ない珠玉の一冊。
「生」と「死」、その境界線を見つめる冷徹で優しい視線
大学で見かけた一人の女性。その眼差しに、ただならぬ「死」の気配を感じ取った青年が、彼女の心の深淵に触れていく表題作「骨の音」。 自殺の名所の崖で出会った少女と、彼女に救われた男が、都会の喧騒の中で再会するデビュー作「ゴミの海」。
本作には、これらを含む初期の傑作6編が収録されています。 そこにあるのは、劇的なドラマというよりも、人間の肉体や精神をどこか「物体」のように冷ややかに見つめながらも、その奥底にある孤独や生命力に触れようとする、岩明均独自の哲学です。
「乾いた」暴力と感情の描写
岩明作品の最大の特徴である、淡々と描かれる衝撃的なシーン。本作でも、人の死や暴力が過剰な演出なしに描かれます。その「乾き」こそが、逆に読者の想像力を刺激し、消えない余韻を残します。
「眼」が語る物語
「骨の音」のヒロインをはじめ、岩明先生の描くキャラクターの「眼」には独特の力があります。何も語っていないようでいて、すべてを見透かしているような、あるいは虚無を映しているような瞳。その表現力は初期から群を抜いています。
傑作デビュー作「ゴミの海」
ちばてつや賞を受賞した伝説のデビュー作。都会を「ゴミの海」と捉える独特の視点と、その中で生きる人間の切なさが、無駄のない構成で描かれています。短編でありながら、一本の映画を観終えたような高い満足感を味わえます。
派手なアクションや派手な感動があるわけではありません。なのですが、どこか不思議な手触感のある作品です。 『寄生獣』で見せた「人間を俯瞰で見る視点」の根っこがここにあるような気がします。 ファンならずとも一読の価値があります。