蜜の島(2) (モーニングコミックス)
内容紹介
文明が届かぬ不条理の島
戦友の遺言を果たし、遺児・ミツを連れて地図にない島「石津島」へ上陸した復員兵・南雲。しかし、そこは我々の知る「倫理」が一切通用しない場所でした。
島には墓がなく、死者は弔われることなく放置される。遺体を弄ぶかのような島民たちの振る舞いに、瀬里沢は激しい嫌悪と困惑を抱きます。
そんな中、殺害された今村の遺体を「文明的」に弔おうと火葬にした瀬里沢。しかし、その行為こそが島民たちの逆鱗に触れることに。
「墓がない」という異常
人類が文明を築く過程で最も大切にしてきた「埋葬」という行為が、この島には存在しません。小屋に放置される今村の遺体。その光景は、読者に「人間とは何か」という根源的な問いを突きつけます。
島民たちの「死生観」と火葬への激昂
死を放置しているようでいて、火葬という「浄化」に対しては異常なまでの拒絶反応を見せる島民たち。単に火葬を知らないのではなく、彼らにとって遺体を「消滅させる」ことは、この島の理(ことわり)に反する大罪であるようです。
じっとりとした湿り気
美しく描かれる自然の中に、ふと混じり込む死の気配。遺体の損壊や島民たちの虚ろな瞳など、生理的な嫌悪感を呼び起こす緻密な作画が、この島特有の「原始的な不気味さ」を際立たせています。
1巻での「おかしい」という予感が、2巻では「恐怖」に変わりました。 瀬里沢がよかれと思って行った火葬が、島民から見れば「取り返しのつかない冒涜」として扱われる展開には戦慄します。埋葬しないことが、この島における正しい死の扱いなのだとしたら、彼らは遺体を何に使おうとしているのか。 山の上の宮司が嘆いていた言葉、そして放置された遺体の意味……。 私たちが信じている「文明的な死」が、この島では単なる「破壊」でしかないという絶望的な価値観のズレ、そこに知的好奇心と恐怖を同時に刺激されるような感触を覚えました。