ゴーマニズム宣言SPECIAL 大東亜論第一部 巨傑誕生篇 上巻
内容紹介
この作品は、それまでの「ゴーマニズム宣言」シリーズのスタイルを継承しつつも、歴史の闇に埋もれた実在の人物にスポットを当てた極めて濃密な長編歴史マンガです。
1. 頭山満と玄洋社の再評価
本作最大の目的は、戦後の歴史教育において「右翼の巨頭」「暗黒大陸の浪人」として忌避されてきた頭山満(とうやま みつる)と、彼が率いた玄洋社の真実を描き直すことです。単なる暴力組織ではなく、当時の日本の独立とアジアの解放を真剣に夢見た若者たちの姿が描かれています。
2. 明治の「男気」と精神性
明治維新後の士族たちが、特権を奪われながらも失わなかった「武士道精神」や「義」の精神が色濃く描かれています。金銭や名誉のためではなく、国家の行く末を憂いて行動する「巨傑」たちの圧倒的な熱量と、その独特のキャラクター造形が特徴です。
3. アジア主義の源流
後の「大東亜戦争」へと繋がる思想的ルーツであるアジア主義がいかにして生まれたかを追っています。西洋列強による植民地化が進む中、日本が近隣諸国とどう連帯すべきだったのかという、現代にも通じる地政学的な問いが内包されています。
4. 膨大な史料に基づく「思想的通史」
単なるフィクションではなく、膨大な文献や史料を小林よしのり氏独自の視点で解釈・再構成しています。教科書的な通史ではなく、人物の「情念」を軸にした物語として描くことで、歴史の裏側にあるダイナミズムを可視化しています。
5. 文明開化への違和感
明治新政府が進める急進的な欧米化(文明開化)に対し、日本人が本来持っていた美徳や文化が失われていくことへの強い危機感が通底しています。「近代化とは何か」という根源的な問いを、権力に抗う民間の立場から突きつけています。
上下巻合わせて読むことで、西郷隆盛の死(征韓論論争〜西南戦争)から、日本の進むべき道が大きく歪んでいく過程がより鮮明に見えてくる構成になっています。