菌と鉄(3) (週刊少年マガジンコミックス)

菌と鉄(3) (週刊少年マガジンコミックス)のカバー画像 発売日: 2022年11月9日 著者: 片山あやか 出版社: 講談社

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内容紹介

敗走の果てに辿り着いた、人類200年の「罪」と「音楽」

アミガサ本部への総攻撃は失敗に終わり、組織「エーテル」は壊滅的な打撃を受けました。仲間を失い、物資も底をつき、グラントとダンテたち一行は、敗走を余儀なくされます。

逃亡の果て、森の奥深くで彼らが出会ったのは、かつて人類が「テメロアプロジェクト」によって不老長寿を追求した末路――異形で醜悪な姿となり果て、200年の時を生きながらえた科学者たちでした。

彼らから語られるのは、2023年から始まったアミガサダケの増殖と、食糧難に喘いだ人類が自ら「菌」を摂取してしまった愚かな歴史。失われたはずの「音楽」と、命を慈しむ「心」。ダンテは異形の先駆者たちとともに「ベルゼブブ計画」遂行のために再び立ち上がります。

歴史の真実と、理性を揺さぶる「文化」の再発見

2023年〜2100年:文明崩壊

なぜ人類はキノコに支配されたのか? 現代(2023年)から地続きの回想シーンが、物語に凄まじいリアリティを与えています。「飢えを凌ぐためにキノコを食べた」という、生存本能が生んだ悲劇。この200年の絶望の積み重ねが、今の管理社会の強固さを際立たせています。

異形の科学者たちが説く「命の重み」

見た目は怪物のように醜悪ながら、「命は大事です」と涙し、散った戦士たちに祈りを捧げる科学者たち。効率と管理がすべてのアミガサ社会で育ったダンテにとって、彼らの「慈愛」や「情緒」は、最強の兵器よりも衝撃的なものでした。

「音楽」がもたらす閃きと反撃の狼煙

この世界から消え去っていた「音楽」。博士たちが聴く旋律に、ダンテは失った仲間たちの姿を幻視します。「音楽でアミガサを撹乱する」という、武力ではない「文化」による抵抗案は、人間を取り戻す戦いにふさわしい熱い展開です。

ダンテとアオイの「でえと」の約束

殺伐とした戦いの中で描かれる、初々しい二人の赤面シーン。言葉の意味すら知らないのに、魂が惹かれ合う「でえと」の約束は、絶望だらけの物語における唯一の純白な希望として胸を打ちます。


3巻にして、単なるサバイバルアクションから「失われた文明を取り戻す物語」へと深化した印象です。特に、記憶が一日しか持たなくなったグラントの悲劇と、対照的に音楽を通じて仲間(記憶)を感じたダンテの対比が鮮烈でした。「効率」を追求して菌に支配された人類が、最も非効率な「音楽」や「恋(でえと)」によって反撃を開始する。 この皮肉めいた希望の描き方に、感動を覚えました。

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