七夕の国(2) (ビッグコミックス)
内容紹介
1巻での「地味な超能力」という入り口から、2巻では一気に「土着の信仰」や「不気味な血筋」といった伝奇的な謎が深まり、物語のスケールが変貌していきます。
行方不明の丸神教授を追い、閉鎖的な空気の漂う「丸川町」を訪れたナン丸たち。そこで彼らが目撃したのは、町全体が隠し守る、あまりに異様な伝統儀式だった。 一方、ナン丸の「物に窓を開ける」能力は、同じ力を持つ男・高志との出会いによって覚醒していく。しかし、その力は「見世物」として消費され、さらに不穏な影「頼之(よりゆき)」の存在が物語を加速させる。 「窓の外」には一体何があるのか? 平凡な大学生が、数千年の歴史の闇に引きずり込まれる。
第2巻を読んで感じるのは、日常が少しずつ、しかし決定的に「変質」していく感覚の心地よさと恐ろしさです。
1巻では「スプーン曲げ」の延長のような、どこかトボけた印象さえあったナン丸の超能力。それが2巻に入り、同じ能力を持つ高志たちとの関わりを通じて「技術」として洗練されていく過程にはワクワクさせられます。しかし、その力が「超能力セミナー」という形で世俗的に利用される様子が描かれる一方で、丸川町の因習という「土着の闇」が並行して描かれることで、読者の心には拭えない違和感が蓄積されていきます。
特に、町の住人たちが頑なに守ろうとする秘密や、ついに名前が挙がった「頼之」という存在が放つ不気味さは圧倒的です。岩明先生の描くキャラクターは、皆どこか感情が欠落しているような淡白さがありますが、それがかえって、この異常な事態のリアリティを増幅させています。
「物に窓を開ける」という、一見ささやかな能力が、実は世界の理を根底から覆しかねない恐ろしい力である可能性。その「窓」の向こう側に何が待っているのか。2巻のラストにかけて高まる緊張感は、単なるSFの枠を超え、私たちのルーツそのものへの問いかけのようにさえ感じられます。ページをめくる手が止まらない、傑作の加速感のようなものを体感しました。